体感に優るものなし。常に沈着冷静な設計士片山が自分を見失なったジェフ・ベックのステージ

感動したコンサートは何度もあった。
すごかったコンサートもある。

しかしながら音に圧倒され、音のみに聞きほれたコンサートはこの人が今の所、最初で最後。
ただしく別格の演奏でした。

 

シンプルなステージ。
開演前にローディーによるギターのチェック。
特別な音でも何でもない、ごくごく普通の音。

 

数分後、ベックと後2人のミュージシャンの登場。

たったの3人?!

しかもベックはステージ衣装とは言い難い、ジーンズにTシャツである。

 

そして演奏開始。

?????

体中に電気が走る?
鳥肌?

とにかくわけのわからない音の衝撃。
時間も何もかも忘れてしまう。

 

※普段の私はコンサート中、割合冷静に他のプレーヤーはどんな事をしているかとか、ミキサーのバランスはどうかとか、どこでエフェクターを踏んだとかを確認しながら見ている。

 

曲が終わり、曲と曲の間にステージ中央で大胆にチューニング。

この時にふと我に返る。

メーターも使わず、堂々と音を出しながらである。
ハーモニクスで合わすのではなく、まるでギター初心者のような実音によるチューニング方法である。

この時は「あの音」ではなく、ごく普通のギターの音。

しかし曲が始まるやすさまじい音世界。
どんな音かは形容出来ない。
言葉で表わす事の出来ない音であった。

ストラトもマーシャルも関係ない、まさしく「ベックの音」。
それがジェフ・ベックのコンサートだった。

アンコールでの神がかった人間業と思えない曲は、後に当時の最新アルバム収録の「Where were you」と知る。

 

私は今までのブログで上手い演奏家とか、良い音楽家という表現をしてきたが、ジェフ・ベックはそれをも超越した言葉で表現の出来ない唯一無二の存在でした。