設計士目線で見る。防音メーカーのサイトで注意しておきたい5つのポイント

ネット上で書かれていることを見ると、『すさまじく性能が高く、ものすごく価格が安い』などと、受け取れるのです。
でも本当にそうでしょうか?

 

価格

建築会社の99%が使用している会社で、石膏ボードを作っている吉野石膏さんという会社があります。
サイトにて遮音構造を公開されており、その工法を採用して防音室を作っている会社が実に多い現状です。
このような工法を公開しているのは賞賛に値いすると思います。

http://www.yoshino-gypsum.com/kouhou/taika/index2.html

 

メリット ⇒ 石膏ボードを使用するので材料単価は大変に安い。
私の仕入先では910ミリ×1,820ミリ×12.5ミリで1枚390円程度です。

LGS工事が中心になるため、比較的工期も早い。
とにかく、価格の安さがとても魅力です。


デメリット 
⇒ 移設が出来ません。
スタッドという柱などを使用するため、壁厚がどうしても厚くなります。

部屋が大きくなると、天井を支えるための防振吊り金具を使用することとなります。
階下対応の浮床などはありません。

 

移設

移設の事に触れていらっしゃるメーカーは、ほとんど見当たりません。
石膏ボードは住宅のクロスなどの下地材としての用途が多く、割れやすいので移設に適応出来ないのです。

※石膏ボード自体は安くて材料精度も常に安定しています。
防音室に工夫を加えてやれば使用出来るのですが、石膏ボードのみでは移設には対応出来ないのです。

 

性能

例えば建物が鉄筋コンクリートだと、それだけで遮音性能はDr50前後はあります。
それプラス防音室なので、総合遮音性能でDr60は当たり前の数字です。

防音室単体での性能表示をしているメーカーがほとんど見当たりません。
※電話で問い合わせたのですが、明確に返事をしてもらえませんでした。

 

体験

防音メーカーの多くは、部屋の中に防音室を作って「部屋+防音室」でショールームとしているようです。
この状態だと、総合遮音性能は体験できますが、防音室単体の性能はわかりません。

※実際に自宅に作ったときに、ショールームと同じ性能が出るかどうかはわからないので注意が必要です。

24時間・365日体験できるのは、今のところ日本全国で当社だけです。
防音室単体での遮音性能が確認できます。

 

室内音響

具体的な室内音響作りについて説明しているメーカーは見当たりません。

※演奏する楽器に応じた音響作りが相談できるかどうか、確認されることをおすすめします。

 

 

当社が吉野石膏さんの石膏ボードを採用していないのは、移設への対応、壁・天井を薄くしたい、建物に手を加えないなどの考えからです。
吊り金具の使用により音が伝わりますし、建物に手を加えることにもなるため採用していません。

 

吉野石膏さんは、たいへん素晴らしいメーカーです。
採用している防音メーカーさんは、ホームページにその事を記載すべきと思うのは私だけでしょうか?

そして、「低価格」と謳われている価格も、本当に低価格なのでしょうか?
材料の原価や諸経費を計算して、会社の利益を考えたとしても、もっと低価格で提供できるのではないかと思うのですが。